映画の窓/レッドクリフPartⅠ/
戦争の愚かさに分け入る描写
今週は中国・香港の大作「レッドクリフ PartⅠ」が見もの。「三国志」でもっとも劇的な赤壁の戦いまでを描く。蜀の軍師・孔明が呉の将軍・周瑜に、呉蜀同盟で魏の曹操に対抗と提案。ジョン・ウー監督は白いハトを飛ばして戦争のおろかさに分け入っていく。
「60歳のラブレター」は3組のカップルの愛の迷走。60歳になって本当の愛情のあり方に気づいたおとなたちの生きていく希望を描く。「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」は、考古学者が長年行方不明の父と再会、父子ともにナチスとたたかいながら秘宝を入手しようとする活劇。「DEATH NOTE デスノート」とは名前を書くだけで死ぬという死神ノートのこと。犯罪のない世界を願う学生と連続殺人を追う探偵とが正義をめぐって―。
NHK衛星は「L.A.コンフィデンシャル」が1950年代ロサンゼルス市警内部腐敗をあばいていく強烈な告発作品。「影なき男」は黒人俳優シドニー・ポワチエが10年ぶりに復帰しての犯人追及劇。「翼よ!あれが巴里の灯だ」は大西洋横断初飛行に成功した青年飛行家の心理状況までとらえた。「リクルート」はCIAの新人発掘、スパイ育成の内情に迫った。
(石子 順 評論家)
( 2011年1月14日「しんぶん赤旗」)