時の焦点
「安保解消元年」
12月18日の「朝日」紙コラムで、聖路加病院理事長の目野原重明氏は、持論の諸悪の根源としての「日米安保」の解消を強調されました。「2010年の最大関心事は沖縄普天間問題だった。日本政府は今後10年後に米軍基地をすべて撤去させることを決意すべきだ。あと10年と期限を定めたうえで、沖縄県民にさらにガマンをお願いして、その沖縄に経済教育、医療等について最高水準の条件を提供するようにしたらどうか」。
ことし100歳を迎える日野原氏のロマンに満ちた提言。
もう一つは、新春特別番組としてNTVが企画した中曽根康弘氏と石原慎太郎氏とのテレビ対談。石原氏は「佐藤栄作首相が非核三原則などというバカげたことを主張して核武装をしなかったから、拉致問題も尖閣列島問題も起きた。日本も核武装してアジアの緊張に対処すべきだ」。
中曽根氏は「日本の核武装は欧米諸国が許さないだろう。核兵器以外の通常兵器を増強して自立していくのが現実的」。
この二人に共通しているのは、核武装やアメリカの核の傘の下での「核兵器抑止力論」と日本の軍事大国化。そして軍事同盟としての日米安保強化論です。21世紀の第二世代期を迎えて、あらためて国民は、この二つのメッセージが指し示す安保解消か永続かの相反する二つの岐路に立ち、選択を迫られています。
思いやり予算をふくむ米軍駐留経費。普天間基地や米軍機能の県内県外のタライまわし。武器輸出三原則緩和による軍需産業の「死の商人」化。日本固有の産業破壊をもたらすTPP問題。歴史教科書改悪や日の丸・君が代強制などの軍国主義思想攻撃。そして憲法空洞化と改悪の策動など、あらためて諸悪の根源としての安保条約の今目的検証と普及が重要です。
不名誉な日米安保締結60周年のことし、「安保解消元年」として意義ある年にしたいものです。(元)
2011.0215 不屈中央版 №440 7面