愛・情熱・勇気 忘れない
多喜二祭ひらく 大阪で
代表作『蟹工船』で搾取の仕組みをあぶり出し、特高警察に虐殺された作家小林多喜二の「火を継ごう」と十六日、「〇八年大阪多喜二祭」が大阪市内で開かれました。昨年、同実行委員会が三十数年ぶりに開催。多喜二の没後七十五年にあたる今年は、前回を上回る四百人近い市民らが参加。会場は満杯で立ち見が出るほどでした。
実行委員長の柳瀬精・治安維持法国賠同盟大阪府本部会長があいさつ。
多喜二が「治安維持法による弾圧という権力の犯罪と、帝国主義や軍隊を鋭く告発した」と指摘。「多喜二の志を受け継いで、この火を守りぬいていこう」と訴えました。
「多喜二の魅力」と題して記念講演をおこなった文芸評論家の澤田章子さんは、近年の多喜二に対する人気の高まりに「(政府による)働く人への激しい攻撃など、今日の社会状況の反映がある」と指摘。作品を紹介しながら、愛、情熱、勇気という三点の魅力を挙げました。そのうえで、「亡くなっても忘れられないのは、人に力と勇気を与えているから」だと評価しました。
多喜二の作品を引用した朗読と歌も披露され、歌手のケイ・シュガーさんの歌声に、会場全体が酔いしれました。
資料展も開かれ、一九二九年に国内で発表された初版本や、軍事政権下の韓国で八七年に出版されたハングル版『蟹工船』など、貴重な資料が展示されました。
2008年2月17日(日) 「しんぶん赤旗」