時の焦点
洞爺湖サミット
七月七日〜九日の三日間、北海道洞爺湖サミットが開かれます。
一九七三年いわゆる石油ショック緊急対策協議のため、資本主義主要国六カ国の首脳会議がフランスで開かれたのが最初です。当時冷戦下もう一方の超大国ソ連をのぞいて、先進資本主義国だけでサミット=頂上会談とはと、その政治偏向が問われましたが、その後カナダが加わり、冷戦崩壊後ゴルバチョフ時代からロシアが招待されるようになり、近年のサミットはG7+ロシアが建前となっています。
ことしの主要議題は地球温暖化問題対策と原油価格高騰の抑制など。議長国日本は二〇五〇年には現状の半減という長期計画を強調して、地域環境保全の主導性の国際的評価を期待していますが、すでに国際社会からは数十年先のアドバルーンにとどまらず、現状改善の十年ごと二十年ごとの中期計画の立案と実行とが指摘されています。京都議定書から離脱したアメリカ、削減目標から逆行している日本の現状などその責任と反省がきびしく問われるべきです。国際的な投機マネーの暗躍による原油価格の暴騰やサブプライム・ローンなどの深刻な経済問題も主要議題。石油問題では、奇しくも三五年前急遽サミットが開かれた動機の「石油ショック」が、当時アメリカの中東侵攻政策に対する、中東石油産出諸国が連帯して産出制限で抵抗した歴史を想起します。
洞爺湖サミットの成否をめぐって国内の政局への影響も関心を集めています。もはや「死に体」の福田自公政権が、サミットを通じての支持率挽回に一縷の望みを託しているからです。
国連憲章にもとづけば本来国際政治の運営や改善は、国連総会を本舞台に、全加盟国平等の権利を行使して執行されるべきです。現実政治上存在するサミットは国連事業の一部としての分限をわきまえるべきで、五大陸を包摂するために中国はじめインドやブラジル
や南ア諸国などの正式参加も課題です。(元)
2008年6月15日不屈(毎月15日発行)№408