第35回全国大会活動報告と運動方針案
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部
2011年6月19日~20日
東京・全労連会館
はじめに
3月11日、東日本大震災は未曾有の大災害をもたらしました。被災地の皆様に謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げます。困難を乗り越え、復興と生活再建へ向けたご奮闘を願っています。加えて福島原発の放射性物質飛散です。一日も早い事故収束と国民の不安解消を求めます。
中央本部は救援募金を全会員に呼びかけています。
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟第34回全国大会から1年8ヵ月が経ちました。
第34回全国大会で同盟運動を国民的運動に発展させようと決議され、各県本部がこの提起を正面から受け止めて、取り組みを強めてきました。
同盟第35回全国大会は次の任務を持って開かれます。
①「ふたたび戦争と暗黒政治をゆるさない」ため同盟の運動が果たすべき役割を明確にすること。
②前大会からの活動の教訓をくみだし、運動と組織の新たな前進をめざす方針を打ち出すこと。
③次期大会までの活動方針を具体化し、それを推進する中央本部役員を選出することです。
一、情勢の特徴とたたかう課題
戦争に反対し、国民主権確立のためにたたかった治安維持法犠牲者の遺志を継ぎ、発展させるために「ふたたび戦争と暗黒政治許すな」と、「戦争する国」にすることは許さず、人権を確立するためにたたかう私たちの運動の原点にしっかり立って課題に取り組まなければなりません。
世界の変化が実感され、日本の変化も予感されます。まさに歴史の転換点に立っています。情勢の推移をしっかり見据えて、たたかう課題を追求しましよう。
(1)許せない国民生活破壊
この間、参議院選挙といっせい地方選挙がおこなわれ、国民は惑わされながらも新しい政治の模索を続けていることが選挙結果に示されています。
貧富の格差が広がり、雇用不安定、生活不安など、国民生活が脅かされていることが背景です。
ところが、民主党政権は国民生活破壊・財界奉仕の路線を強く打ち出しています。中心は社会保障切り捨て、法人税減税・消費税増税、TPP推進です。大震災の復興財源も「復興税」「消費税税率引き上げ」などと国民負担が先行です。大震災・原発事故対策で菅首相の指導力欠如が露呈しています。
憲法第25条を守る責任を国に求める運動を強めなければなりません。
(2)改憲許さず、「戦争する国」をストップさせよう
民主党政権は日米安保条約「深化」を強調してきました。普天間基地の辺野古移転にしがみつき、政府高官が相次いで沖縄説得に動いています。思いやり予算も三年間協定を五年間と改めました。「新防衛計画大綱」で「基盤的防衛力」(専守防衛)から「動的防衛力」(海外展開)への転換を打ち出して、自衛隊の一部海兵隊化を目指し、海外で日米合同作戦を展開するための体制作りをすすめ、海外派兵恒久法の制定をめざしています。
マスメディアが、民主党政権の国民生活破壊路線・「戦争する国」路線をあからさまに支持する論調も軽視できません。
改憲策動には絶えず注意を払い、どんな動きも見逃さず、機敏な対応が求められます。「九条の会」の重要性が増しています。その一員としての活動を強めましょう。
全同盟員が、治安維持法下でたたかった先人たちの志を受け継ぎ、改憲を許さず、「戦争する国」をストップするための歴史的たたかいの先頭に立ち、共同の輪を広げるために奮闘しましょう。
(3)世界にわきおこる変化
チュニジアから始まり、エジプト、イエメン、シリア、リビアなど、民衆が行動を起こし、長期独裁政権を終わらせて民主的権利を拡大している動きが広がっています。
中南米では新自由主義政治路線決別の動きが強まっています。
ASEANは11年秋に予定される第6回東アジア首脳会議を準備するための外相会合で、戦争放棄を明記した東南アジア友好協力条約(TAC)が行動基準だと確認、東アジアの平和を築く中心的役割を果たしていくことを確認しあっています。
核兵器廃絶への国際世論は盛り上がり、新たな運動の機運を強めています。民主党政権は核抑止力にしがみつき、被爆国日本の立場で国際世論の先頭に立とうとしないのは情けない話です。
世界は21世紀を平和と人権の世紀にするために確実に歩みを進めています。
(4)戦争と国民弾圧は腕を組んでやってくる
反共の風潮が強まっていることに注意を向けなければなりません。比例定数削減の狙いは、国会内からの改憲反対勢力の締め出し、日本共産党排除です。
国民の権利を無視する司法の反動化が際立っています。ビラまき弾圧、「日の丸・君が代」問題などで内容の是非を棚上げし、形式犯で取り締まりを積み重ねています。
盗聴法、共謀罪など、機会あれば使おうとしているものが目白押しです。自衛隊の情報保全隊が国民監視活動をおこなっています。秘密保護法準備の問題もあります。
「戦争する国」路線が強められようとしているいま、国民弾圧強化に対し、どんな些細なことでも見逃さず、機敏に対応することが重要になっています。
弾圧には戦前でも、今日でも人権無視がつきまといます。人権の国際的水準を身につけてたたかうことの大切さを学ぶ必要があります。
(5)レッド・パージ反対運動との共闘
戦後最大の汚点といえるレッド・パージは不法な国家的犯罪です。思想・信条を「追放」する点で、戦前の治安維持法弾圧を復活させるものでした。日本国憲法が施行されたあとの人権侵害ですから、二重にも三重にも国の責任が問われています。
反共マッカーシズムが荒れ狂ったアメリカでも、1957年に「赤狩り」の思想差別は違憲であるとする連邦最高裁判所の判決が出されています。
過去の不正不義を正し、正義の実現に向かって、新たに反対運動が全国連絡センターに結集されていますが、いっそう協力共同を強め、手を携えてたたかいます。
(6)戦後補償問題
日本の戦後補償は強制連行、強制労働など、多くの問題が法廷へ持ち込まれました。和解したものもありますが、ほとんど原告敗訴、門前払いです。原爆症被害者への補償も対象範囲限定、給付制限付です。
いま空襲被害訴訟は全国連絡会を結成して運動を新しい段階へ発展させようとしています。シベリア特措法のように政治的解決が図られたものもありますが、問題は山積したままです。
2010年3月、日本政府は「韓国出身民間徴用者」約17万人分の供託書副本を韓国側に手渡しました。10年8月、三菱重工業は名古屋三菱女子勤労挺身隊訴訟関係者に交渉に応じると連絡しました。中国人強制労働加害35企業のひとつ西松建設が解決金2億5000万円を支払い和解しました(10年4月)。これが突破口になるように、日本政府と関係企業は責任を取れ、との声を挙げなければなりません。
補償ではありませんが、10年8月、朝鮮王室から略奪してきた文化財の一部を「引き渡す」と表明しました。フランスが19世紀に持ち去った朝鮮王室図書が11年4月、貸与形式で返還されました。
元日本軍捕虜米軍兵士代表を外務省が招待して謝罪(10年9月)、オーストラリア元兵士にも外務省で謝罪しました(11年3月)。
問題解決の基本は、国内外を問わず侵略戦争と植民地支配の謝罪にあることはいうまでもありません。
歴史認識を正す国民の運動を盛り上げなければなりません。
(7)歴史認識を正すたたかいを強めよう
歴史認識を正すことは同盟運動の基本です。
日本近代史には、日本政府として歴史的、道義的、政治的に謝罪しなければならない三つの問題があります。侵略戦争と植民地支配、治安維持法弾圧です。
日本歴代政府は、植民地支配・侵略戦争について謝罪せず、頬かむりしたままで押し通そうとするばかりか、治安維持法で国民を戦争に駆り立てた戦前政治を肯定してきました。これを推進する中心的勢力として「靖国」派が形成されてきました。
侵略戦争、植民地支配の責任を認めさせることは容易でないたたかいです。「靖国」派・皇国史観派・自由主義史観派が執拗に侵略戦争であることを否定し、植民地支配はよいことをしたと振りまき、育鵬社・自由社の歴史教科書採用を求める運動を繰り広げています。
侵略戦争と植民地支配の誤りを認め、日本政府が謝罪することは、北東アジアに真の平和友好を築く道を切り拓きます。
ドイツがヨーロッパ社会に受け入れられているのは、ナチスドイツが行った行為について、歴史的、道義的、政治的責任を取り続けることをつねに明らかにしているからです。
侵略戦争と植民地支配について歴史の真実を学んで真実を知る人たちを圧倒的な多数にしていかなければなりません。
「ふたたび戦争と暗黒政治を許すな」を基本的な目標として掲げる治安維持法国賠同盟は、戦前政治の誤りと治安維持法が悪法であったと認めることを求め、21世紀を平和の世紀につくり上げる中心的役割を担う日本にするためにたたかっています。
「靖国」派と真っ向から対決し、歴史認識を正すためにたたかう大衆団体の一員としての自覚を強め、同盟活動をいっそう発展させるために奮闘しましよう。
二、前大会以後の同盟活動と運動方針
同盟運動を国民的運動に創造的に発展させるためにカを合わせ、諸課題への取り組みを強める同盟の三大独自活動、
①治安維持法犠牲者への謝罪と賠償を実現する活動。
②治安維持法犠牲者、先覚者を顕彰する活動。
③治安維持法国賠同盟の組織を拡大強化する活動。
に取り組みます。
1、治安維持法犠牲者に謝罪と賠償を要求する活動
(1)国会請願署名をひとまわり外へ
「治安維持法犠牲者国家賠償法」の立法化へむけて、圧倒的な国民世論の結集をめざし国会請願署名、地方議会意見書採択、国会の紹介議員をふやすの3点セットでの取り組みを強調してきました。
わが同盟は1974年以来、37回におよぶ国会請願を行い、今年までに累計830万を超える署名を国会へ提出してきました。
国民の権利=国会請願権を行使した、この全会員の誇るべき成果にたって、国民的世論作りをめざして「ひとまわり外へ」を合言葉に、いっそう活動を強化しようではありませんか。この署名運動は、同盟の活動の質的強化にも大きな役割を果たしています。署名集めに歩くことはできないが、せめて病院へ通うときに用紙を持ち、待合室で署名を集めておられる会員がおられます。こうした経験をもっと広く紹介しなければなりません。
署各目標が国民的運動というにふさわしいかどうか、府県本部、支部で検討し、積極的に目標引き上げを図りましょう。秋田は有権者比2・37%、山形、長野、鳥取など1%以上を集め先進的役割を果たしています。有権者比1%以上、人口比1%以上を目標にしている県もあります。
積極的に検討してください。
①地方議会意見書採択、国会での紹介議員を増やし、国賠署名を推進します。
②同盟員の学習活動を重視し、「署名推進リーフ」を積極的に活用し、顕彰活動とも結合して署名活動に自覚的に取り組みましょう。
③労働組合、民主団体、寺院、キリスト教会、町会・自治会、サークルなど、より幅広い団体に、繰り返し協力を訴えよう。
④県本部、支部は毎月、署名活動を点検し、先進的経験を普及するなど目標達成に向けて計画的、組織的な取り組みを強めよう。
(2)国会請願の活動
国会請願活動を強化するために、国会議員との地元懇談を強化するように提起し、「FAXニュース」を発行して活動の交流を図りました。
兵庫県本部は議員への申し入れの中で民主党県連と全議員との懇談が行なわれることになり、県本部が詳しく訴えることができ、全議員が紹介議員となりました。
11年の国会請願は東日本大震災・福島原発事故を考慮し、5月12日に予定していた国会請願は、秋の国会へ延期することとしました。
10年の国会請願では各県から157名が参加、500人を超える衆・参両院議員を訪問、72人が紹介議員を受けてくれました。また、法務委員会での審議促進を衆参法務委員会委員長と理事へ要請を行い、後日、三役・治安維持法犠牲者が千葉景子法務大臣、江田五月参議院議長と面会しました。全議員の訪問、事前の懇談や働きかけ、訪問後の対策など、『虐殺』パンフ運用を含め、工夫や改善が必要です。
(3)地方議会への陳情・請願活動
「治安維持法犠牲者への謝罪と賠償」を求める意見書は、今日までに42都道府県の371市区町村議会で採択または趣旨採択をかちとっています。前大会後、21議会増えています。しかし、群馬、岩手、静岡、広島、愛媛の5県で未採択、16府県では1,2の議会での採択にとどまっています。
大阪三島支部は秋田県の経験を繰り返し学び、高槻市、島本町の2意見書採択を実現しました。支部として議長に申し入れ、議長の了解のもとに各会派代表と懇談、決議は全会派賛成で実現しました。採択後、各会派代表が関係する労組・団体へ署名の協力を申し入れ、議会決議全文と訴えを署名用紙とともにビラにして、「赤旗」折り込みを行いました。
決議されたことを生かした取り組みにする努力が行なわれています。
可能性を追求して、県本部を先頭に支部の取り組みを強めましょう。
(4)「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」の批准と承認を求めよう
戦後補償要求でたたかっている諸団体と連帯し、批准を求める運動を推進します。
(5)個人通報制度を実現させよう
葛飾ビラまき事件の荒川庸生さんは、最高裁の不当判決後の報告集会で「個人通報制度が実現したら、真っ先に使います」と訴えました。
自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約などの議定書批准で個人通報制度が実現するために、同盟は参加団体である国際人権活動日本委員会でともに奮闘してきましたが、他団体との共同を強め、実現のためにいっそうがんばります。
(6)国際活動
97年、ジュネーブ国連要請行動で始まった同盟国際活動は15年目です。
国内、国外の平和・人権NGσとの協力、共同の活動が広がり、10年から首都圏中心に日本近現代史連続講座や学習会を行い、他団体からの参加者もあります。
09年、10年に行われた「アジア平和・連帯の旅」には国連人権活動をともに進めた友好団体からの参加者も加わり、「中国国際交流協会」「南京大虐殺幸存者」「東学農民運動保存会」「上甲米太郎ゆかりの小学校」等との交流を実現しました。各県本部の協力、参加も広がっています。
11年6月、国際人権活動日本委員会と共催で「スペイン歴史の記憶法を学ぶ平和と人権の旅」を行い、スペインの平和・人権NGOと交流します。
11年10月、「中国平和・連帯の旅」で武漢、杭州、紹興を訪ねます。
辛亥革命100年ゆかりの地で孫文、秋瑛、生誕130年の魯迅、いずれも日本に滞在した人で、その事跡を訪ねます。正しい歴史認識を学ぶ機会にもなります。
2、治安維持法犠牲者を顕彰する活動
(1)治安維持法犠牲者の調査・発掘し名簿の作成へ
同盟は国に対し、治安維持法犠牲者の実態を調査し、その内容を公開することを国に求めています。
同時に、各府県で犠牲者調査を行い、名簿作成を提起してきました。
すでに犠牲者名簿の作成を終えているところもあります。神奈川では一度発行した名簿に検討を加え、あらためて内容を充実させたものを発行しています。和歌山でも充実させる作業をしています。奈良ではチームを作り手分けして「特高月報」「思想月報」からの関係者写し取りをすすめています。調査発掘の体制を整備することが大事です。先進の名簿つくりに学び、」度作ったから終わりとしないで充実する作業に取り組みましよう。
全国的名簿を作り上げるために、各県の作業をさらに進めてください。
(2)犠牲者の顕彰・記念集会の成功を
毎年、全国で行われている3・15 4・16大弾圧記念集会、多喜二祭、山宣祭など各地で成功しています。京都北丹後地方では虐殺された倉岡愛穂顕彰を通じて支部結成、会員拡大が一挙に進められています。県本部や支部で有名無名の郷土出身の犠牲者の顕彰活動を大いに進め記念集会、支部主催の墓参会や偲ぶつどいなどを成功させ、若い世代に語りつぎます。全国各地への歴史探訪、碑めぐりツアーなどをすすめます。10月23日、京都清水寺で治安維持法弾圧犠牲者慰霊祭が行われることになりました。
(3)すぐれた映画の上映、普及活動
「弁護士布施辰治」「鶴彬こころの軌跡」全国上映運動が各地で取り組まれています。また「時代を撃て・多喜二」、「日本国憲法」、「日本の青空」これらの映画を見て同盟への入会や署名活動への参加が全国各地で数多く生まれています。中央本部は「戦争に反対した人びと」「燃やし続けた炎」のDVDを広く普及するためにそれぞれ1000円で販売しています。積極的に取り組みましょう。
(4)同盟内外での学習会の強化
秋田県本部は支部単位の学習会をつねに開催しています。いま、歴史認識を深めようと侵略戦争や植民地支配について正確に知るための学習会を強化しています。
同盟運動を国民的運動に発展させるためには、会員一人ひとりが、運動の基本、治安維持法弾圧の本質、正しい歴史認識の基本をしっかり学ぶ必要があります。県本部、支部は基本テーマや、時宜を得たテーマで学習会を企画し、成功させましょう。
(5)同盟の機関紙「不屈」、『治安維持法と現代』、図書の普及
「不屈」に著名人の一言欄を設けるなど、内容の改善、充実をすすめていますが、さらに努力します。ホームページの充実に努力します。
同盟が40周年記念事業で発行した「抵抗の群像」、「全国女性交流集会報告集」などのパンフ、書籍、各県本部発行物、会員著作物の普及に努めます。
3、会員拡大と県本部・支部の確立
①大会後1187人を超える新しい会員を迎えましたが、死亡、脱会者があって差引き65人純増(4月1日現在)です。純増で京都86人、奈良63人、愛知37人、青森32人、神奈川29人、岡山26人などが際立っています。
会員拡大は意識的な取り組みが必要です。歴史認識を正すたたかいへの参加を呼びかけ、現役世代、若い世代へ入会を呼びかけましょう。どこでも、誰にでも気軽に入会を呼びかけることです。新しい入会の訴えを人の顔を見れば手渡すほどに活用してください。治安維持法のことを話すのが難しいなどとしり込みしていれば、チャンスを逃がしてしまいます。DVDを活用して自宅で見てもらう、「虐殺-国家テロリズム」を手渡して読んでもらうなど、自分で語ることができなくても、さまざまな訴え方を工夫することが大切です。大胆に訴えて新会員を増やしましょう。すべての都道府県本部が自主目標の達成をめざし、会員拡大に奮闘し、新会員を迎えて同盟内にあらたな活力をみなぎらせましょう。
②中央・都道府県本部・支部の体制強化が必要です。
役員の高齢化や、体調不良などで体制が弱体化している県本部があります。時機を逸せず、早く手立てを取ることが必要です。思い切った若返りを図り体制強化の手立てをとりましょう。近隣県やブロックで助け合うことも必要です。
また、都道府県本部大会開催の時期の問題です。同盟活動の一年間の大きな軸は、例年5月に行なう国会請願です。署名を国会に提出し、翌年に向けた運動の出発を県本部大会で意思統一することを考え、開催時期を遅くとも毎年7月末頃までとすることを、検討してください。
③同盟活動を発展させるうえで、地域に密着して活動する支部の確立と活動強化は、決定的に重要です。市区町村ごとに、点在する同盟会員を支部に組織し、毎月定例の会議を開き、同盟の方針を具体化し、支部ニュースを発行するなど、地域で系統的に活動できる支部体制を確立するためにカを入れましょう。
4、全県本部・全支部で女性部を確立し、全国女性交流集会を成功させよう
①全県本部・全支部で女性部を確呈することを訴え続けてきましたが、まだ県段階で未確立のところが20県あります。
たとえば大阪府女性部は母親大会連絡会、国際婦人デーなどの準備会議に参加、大会・集会では署名を集め、のぼりを掲げゼッケンをつけて壇上から訴え、繰り返し同盟の存在をアピールしています。毎年の積み重ねの中で、他団体との交流が進んでいます。母親連絡会の役員を務める会員がいるということと、女性部が実行委員会に参加していることは意味合いが全く異なります。
09年京都、10年福島で行なわれた日本母親大会では、開催県とブロックの女性部が共同で取り組み、会場入口で署名を集め、壇上からゼッケンをつけてアピールし、参加していた同盟員から「勇気が湧いた。わたしも上りたかった」という声が聞こえています。中央の母親連絡会へ女性部代表が参加して発言力を強めてきたことが、その基礎にあります。
第21回全国女性交流集会では、秋田県から支部女性部を確立した詳細な報告は、各県の役員会で討議し学びあいましょう。
②全国女性交流集会へ全県から参加しよう。
09年第20回は27府県から82名、10年第21回は29府県から82名の参加です。節目の第20回は増本一彦副会長が「同盟40年と女性の人権、なぜ女性は強いのか」を講演、第21回では講師の婦団連会長堀江ゆりさんは「同盟の要求を国民的要求にしよう、ということは、本来日本の国民の要求です。犠牲者の名誉回復をしなかったら日本の未来はないし、世界の未来はない」と結ばれました。
治安維持法犠牲者の水谷安子さん、市吉澄枝さん、遺族の松井朝子さん、見機久礼さん、佐野ウララさんから体験や思い出を聞き、感動と勇気をもらい、志を継ぐことを誓い合いました。鳥取を始め各地の女性部はユニークな取り組みをしています。
歴史を学び情勢に見合った女性部の運動に発展させるために、学びあい、語り合い、大いに仲間をふやして、明るくのびやかに活動を発展させましよう。
5、「平和のための戦争展」と8・15宣伝行動
全国各地で開催されている「平和のための戦争展」は、憲法九条守れ、基地反対などの要求を掲げて開催され、戦争を知らない若い世代に感銘をあたえています。同盟は、その参加団体の一翼をにない「戦争に反対した人々」のコーナーを設け、治安維持法に抗して闘った先達を顕彰する展示などもすすめ、「戦争展」を成功させましょう。
8・15「終戦記念日」のいっせい宣伝行動を成功させましょう。
6、全国ブロック会議の成功を
10年の全国ブロック会議には中央三役は事前に討議して意思統一し、統一レジメを準備して臨みました。ブロック会議は活動交流の場です。
東北ブロックなど参加人員の多いところでは活動の交流が進み、学んだ経験を持ち帰って自分たちの活動に役立てようとする機運が強くなります。集まりが少ないところ、あるいは県からの参加が少数のところでは、なかなか交流が深まりません。
ブロック会議へ参加する場合、他県の経験の長所を学び、自分の県の活動に生かすために、必ず複数で参加し、学ぶべき点を確認しあうことが大切になります。条件は考えなければなりませんが、合同ブロック会議を行なって交流を広げることも検討します。
県本部役員だけでなく、支部役員、活動家の参加を増やし、ブロック会議を成功させましょう。
7、旺盛な同盟活動を支える財政基盤の強化を
前大会以後、同盟活動の多面的発展のなかで、財政支出が増大し、09年度は270万円の赤字、1
0年度は23万円の黒字でした。各都道府県でも、財政困難に陥っている所もあります。これを克服するために、支部財政の確立を含め、財政活動を重視して取り組みを強め、財政部も確立して、①1万6000人会員拡大目標をやりとげ、財政力を強化する。
②会費100%納入の重視、③賛助会員を増やす、④年末募金と「不屈」名刺広告の拡大、⑤『治安維持法と現代』、各種報告集、出版物、DVDなどの普及と代金100%納入。
むすび
同盟運動を国民的運動に発展させるためには、全会員のいっそうの奮闘が必要です。歴史認識を正す活動を基本にしっかりすえて、治安維持法下の権力犯罪を認めさせることは壮大なたたかいです。
同盟のたたかいは未来を拓くたたかいです。21世紀を平和と人権の世紀にするためのたたかいです。
同盟の真価を発揮し、力を合わせて奮闘しましょう。
2011-05-15 22:42 不屈中央版 №443