時の焦点
ふたたび国民投票法案
安倍首相「参議院選挙には『憲法改正』を争点にする。今通常国会の最重要法案の一つが『国民投票法案』」太田公明党委員長「憲法改正を争点とするのは時期尚早。今国会では五月三までに『国民投票法』を仕上げることだ。」国民投票法、つまり「改憲手続き法」。これまで自民・公明・民主の改憲派は、憲法九六条の具体化で改憲とは別と言いつくろってきましたが、民主党と合意に達した段階で安倍首相は、今後五年以内の改憲強行と関連しその第一歩としての手続き法と明言したのです。
太田公明党委員長は、改憲の真意を問われると参院選不利と判断、争点を避ける反面、五月三日憲法六〇周年記念日以前、国民の関心のもり上がらぬ前に成立させ、改憲のレールづくりで自民党の歓心を得ようとしています。
法案の中でもっとも注意すべきは「国民の過半数」の扱い。与党案では有効投票数の過半数とされていて、それでは投票率五〇%の場合有権者の二〇%台の賛成で容易に改正される仕組み。民主党との合意で投票総数の五〇%と修正された模様ですが、それでも有権者の二五%以上の低率で改憲が強行されることになります。
放送・新聞などの無料宣伝広告も改憲派に有利となっています。各党の議員数にもとづくと、護憲派の共・社で新聞紙面の四・三%のスペース。改憲派は九五・七%も占めることになります。テレビ放映も、一時間当り護憲派が二分五七秒、改憲派が五七分三秒と圧倒的に有利。国民が吟味する改正案の検討期間が「六〇日以上一八〇日以内」といわれますが、改憲派はかぎりなく下限の六〇日に短縮してくる可能性があります。「安保条約」でも批准から制定まで一八〇日間、現行憲法も制定後一八〇日を経て施行されています。
世論を広げ廃案にさせることが基本です。(元)
「不屈」 中央版 392号(2007年2月15日号)