国民的世論をひろげ請願要求実現へ
新らしい情勢に草の根からこたえよう
決意を新たにした第34回全国大会
自公政権が崩壊し、新たな政治状況の下で開かれた全国大会です。大会は代議員、役員ら全国から一二八名がつどい、中央本部役員を先頭に、地域、草の根からの請願運動と連帯し、国民的世論をひろげようと決意を新たにしました。
大会は十月二十一、二十二日の二日間、全労連会館で開かれ、三四名が発言、文書発言四名。発言は、いずれも新たな政治状況を迎えて対政府、国会、地方議会などへの国家賠償要求を強めて国民的世論を広げること。そして各地の治安維持法犠牲者の顕彰、国賠署名、会員拡大、支部建設などの経験が生き生きと語られました。大会は運動方針案と十一、十二月の「特別運動期間」の特別決議など満場一致で採択。新役員人事も大きな拍手で承認されました。ここでは特徴的だった大会発言の一部を紹介します。
新しい情勢の下での活動
鳥取 草刈司
会員拡大目標三五〇名、署名は六二〇八筆、人口比一・〇五%を達成しました。この署名の過半数は、全体会後の二年間に全支部に確立した女性部の奮闘です。この八年間、会員を減らさず増やし続けてきたことと、団体・個人との協力者を増やしたことです。犠牲者の顕彰活動と結んで、映画「武器なきたたかい」「日本の青空」「母べえ」「蟹工船」などに取り組みました。関東ブロック会議では、新政権のもと、国賠法の立法化に向け、「せめて人口比一%位の目標を掲げた国民的規模の運動が必要」との発言がある。調べてみたら、〇八年十月一日現在の人口比一%以上は、秋田一・八%、和歌山一・四八%、長野一・三八%、島根一・〇三%、鳥取一・〇一%の五県。組織現勢でも人口比でほぼ対応しており、運動と組織拡大は車の両輪です。
新政権の歴史認識問題は今のところ不明ですが、存命犠牲者が年々少なくなり、一刻も早い国賠法の立法化が求められているが、「五〇万署名」で立法化できるのでしょうか。一〇〇万とか、人口一%一二八万とか立法化実現に必要な目標を大会で決め、それにふさわしい目標を各都道府県が掲げて運動することが必要と考えます。
どうして市民権を得るか
和歌山 古倉伸二
和歌山県の橋本・伊都支部です。これまでは大きな成果を上げることはできませんでした。昨年十二月の役員会で、三・一五記念講演会の開催を決めました。どうしたら市民権を得られるか、会員だけの学習ではダメです。大企業中心に弱者を切り捨てる雇用が横行している中で、派遣労働者の首切り反対、正規雇用を求める若い労働者のなかで小林多喜二の「蟹工船」がベストセラーになっている。この「蟹工船」にあやかって、「蟹工船の時代と現代」をテーマに元中学の社会科教師に講演を依頼し、宣伝チラシを作った。一〇〇名目標で、従来の会員を集めるだけではなく、会員以外の人に参加してもらおうと役員中心に、各種団体へ、ビラ、ニュースなどをもってきめ細かく協力を要請。当日は、同盟以外から六五名が参加、合わせて八九名が集まり、目標は達成できませんでしたが、従来の枠を大きく超え成功しました。講演会の成功を中心に署名に取り組み一四〇一筆で、一筆超過達成しました。会員は四名拡大、先日の総会では、今年こそ五〇名を超過達成することを決めました。
「聳ゆるマスト」碑建設
広島 小栗勉
戦前の日本帝国海軍の一大拠点であった呉軍港で一九三二年、兵士向けの反戦新聞「聳ゆるマスト」が四号発行された。これにかかわった人たちを顕彰しようという運動が三年前から始まりました。なぜか? 四年前「戦艦大和ミュージアム」(入館料五〇〇円)がつくられ、今年七月で入館者は四〇〇万人を突破。この盛況ぶりに目をつけた海上自衛隊が、その隣に退役した潜水艦を展示、クジラ館と称して無料で一般公開。呉港からはペルシャ湾などに海上自衛隊がどんどん海外派兵されている。平和教育に供するためも、反戦兵士にかかわった民間の党員・支持者をふくめて三〇人近い人たちが今なお、地下に埋もれたままになっています。だからこそいま、顕彰することに大いなる意義があると考えています。
県本部と支部組織確立を
高知 岡村正弘
県同盟は二九〇名を五支部に組織。東部の三支部は署名やカンパも超過達成します。残りは高知市南と北の二支部、この二つで県本部の半部の会員です。昨年の署名も、東部三支部が高知市二支部の分をがんばって一二〇%を超過達成しました。私は高知北支部、ここにいる湖摩崎さんは、高知南支部です。二人で今年こそ、支部体制をつくることを大会の場で表明します。早い時期に「飲んで、歌って、仕事きっちり」を合言葉に、西部にも支部をつくります。五月一日は分裂メーデーです。連合系の会場で来賓の民主党武内則男参院議員から「国会にいつ来るか」などと言いながら署名。これをコピーして組合廻りに活用。連合系の組合で「国会請願の紹介議員は武内さん」と説明すると抵抗なく受け入れてくれます。
拡大目標の達成と教訓
千葉 中山功
会員目標二〇〇名を五月に達成。六月の総会では目標を二五〇名に決定しました。教訓の第一は、犠牲者の顕彰や農民闘争などの掘り起こしと結ん支部結成。市川市では渡政の墓前祭や偲ぶ会で五名拡大。松戸市では、犠牲者である高沢義人さん宅で支部準備会、学習会を開いて五名を拡大。成田市では、小作争議の関係者や家族を訪問し、当時の思い出を語ってもらいながら入会者を迎えています。二つ目は、諸外国の国家補償のあり方について「スペインの歴史の記憶法」を『治安維持法と現代』〇八年秋季号で学び、「同盟の要求は夢ではないんだ」と、論文をコピーして入会を勧め、二〇人の目標をやりとげています。
一人ひとりが力を発揮する支部
北海道札幌 渡邊ちか子
署名目標は個人一万二〇〇〇筆、団体四〇〇筆、未達成。会員は三〇七名。昨年は一五名増やしましたが、死亡・退会で実増は八名で、会費納入は八七%です。毎月「不屈」札幌版を発行。顕彰活動と、3・15、8・15、12・8などの宣伝行動に取り組みます。三ヵ月に一回署名用紙を会員に送り、要請。行動の経験を「不屈」に載せます。署名を達成するためには、一筆に込められて人々の思いを深くつかみ会員に知らせることが大切と、話し合っています。女性部は十月十九日、一〇周年の集いを開き、北海道合唱団の演奏と「憲法を身近に」と題して竹中弁護士が記念講演しました。四月には「田母神発言の意味するもの」をテーマに元衆院議員の児玉健次さんを講師に学習会を開き、会場いっぱいになりました。もう一つの自慢は、毎月一回の読書会です。一九九三年から始めて、宮本百合子の「十二年の手紙」、今は多喜二の「地区の人々」です。
『治安維持法と現代』を使った学習で元気をもらっています。
同盟運動の前進めざして
京都 岡本康
今年初め、会員拡大が十分すすんでいないので奮闘してほしいとの会議が開かれました。六九名を増やし、拡大しつつ組織整備をすすめる。署名は一万筆の達成めざして支部建設に取り組み、必ず三支部を建設します。運動を広げるために、①治安維持法犠牲者の慰霊祭を清水寺か本願寺で行いたい、②反戦教師の顕彰碑の建立、③丹後支部に入会した映像作家が生存する犠牲者のビデオ撮りをしたいとのこと、④名の協力をラジオで訴えたい、⑤歴史を風化させないよう教育者と連帯して運動をすすめていきたい。
顕彰活動と会員拡大へ
奈良 田辺実
和歌山県の治安維持法犠牲者の名簿作成の経験に学んで、奈良県における治安維持法犠牲者の名簿作成を始めました。「特高月報」を調べて犠牲者を洗い出し、生家やお墓を探しだしてお訪ねした結果、会員を拡大し、二つの支部がつくれました。名簿作りは緒に就いたばかりですが、この活動を粘り強くすすめるならば、年内にはさらに五〇名の会員を拡大して二〇〇名の同盟を建設する展望が見えてきました。奮闘する決意を表明いたします。
二年連続一万筆を突破
兵庫 築谷時雄
前大会以降会員は昨年十二月に五〇〇名を突破、署名活動でも二年連続一万筆を突破、尼崎市議会で県下の都市で(六㌻下段へ続く)初めて〇八年七月に意見書を採択、女性会員は全会員の三分の一を占め、女性部会を定例化、支部も四支部になりました。署名活動では四支部が目標を超過達成し、牽引車の役割を果たしています。目標一万五千筆をやりきるために新たな支部づくりをすすめ、連合系労組、宗教団体などへの協力を要請する。同時に全会員参加の運動を推進する。次期大会までの目標五五〇名をめざします。
2009年11月15日 不屈 №425 (毎月15日発行)